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執筆: 副業タックス編集部
副業の規模が安定してきて、そろそろ青色申告で65万円控除を取りに行きたい――そう考えたとき、最初に立ちはだかるのが「所得税の青色申告承認申請書」の提出です。事業所得として申告できるだけの実態が整っていても、この申請書を出していなければ自動的に白色申告となり、65万円控除も損益通算も使えません。さらに提出期限を1日でも過ぎると適用は翌年からという時期の厳しさもあり、思い立った年にすぐ青色化できないケースは少なくありません。本記事では、申請書の提出期限・書き方・開業届との関係を、国税庁の一次情報に沿って整理します。
青色申告承認申請書とは
青色申告承認申請書は、事業所得・不動産所得・山林所得を青色申告で申告する許可を税務署から得るための書類です。国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」によれば、青色申告ができるのはこの3つの所得に限られ、雑所得は対象外です。だからこそ事前に事業所得と雑所得の判定基準で自分の副業が事業所得として申告できる立場かを確認しておく必要があります。
一度承認を受ければ翌年以降は自動継続で、毎年出し直す書類ではありません。逆に、出していなければどれだけ複式簿記で帳簿を整えていても白色申告扱いになります。
提出期限:3つのパターン
申請書の提出期限はタックスアンサーNo.2070に明記されており、状況によって3つに分かれます。
| 状況 | 提出期限 |
|---|---|
| ①その年の1月15日までに新規開業した | その年の3月15日まで |
| ②既に白色申告中の人が青色に切り替える | 青色化したい年の3月15日まで |
| ③その年の1月16日以降に新規開業した | 開業日から2か月以内 |
会社員が副業を青色化するケースで一番多いのは②と③です。例えば2026年分から青色にしたいなら、2026年3月15日までに申請書を提出する必要があり、3月16日に出した場合は2027年分からの適用になります。1日でも遅れたら翌年送りという運用なので、確定申告の時期に「ついでに来年から青色で」と思い立つと間に合わないことも珍しくありません。
③のパターン(1月16日以降に開業)では、開業日から2か月以内が期限です。8月10日開業なら10月10日が期限、というカウントになります。
書き方:申請書の項目を上から順に
申請書のフォーマット自体は国税庁サイトからPDFでダウンロードできます。記入欄を上から順に追っていきます。
- 納税地 ―― 住所地を選ぶのが原則。会社員副業ならお住まいの住所を記入し、所轄税務署も住所地基準で決まります。
- 氏名・生年月日・職業・屋号 ―― 屋号は任意です。空欄でも問題ありません。
- 所得の種類 ―― 「事業所得」「不動産所得」「山林所得」から該当するものにチェック。副業会社員は通常事業所得にチェックします。
- いままでに青色申告承認の取消しを受けた又は取りやめをしたことの有無 ―― 初めて出すなら「無」にチェック。
- 本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日 ―― 該当する場合のみ開業日を記入。
- 相続による事業承継の有無 ―― 親などから事業を引き継いだ場合のみ「有」。
- その他参考事項(1)簿記方式 ―― 「複式簿記」を選ぶと65万円控除(または55万円控除)の対象。「簡易簿記」を選ぶと10万円控除止まりになるので、よほどの理由がなければ複式簿記一択です。
- (2)備付帳簿名 ―― 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳、預金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳などにチェック。会計ソフトを使う前提なら**「総勘定元帳」「仕訳帳」**は最低限チェックします。
最後に税務署受付欄の上の押印欄ですが、2021年以降は押印不要です。署名のみで問題ありません。
開業届とセットで出すのが基本
実務上、副業を事業所得で始めるなら個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)と青色申告承認申請書を同時提出するのが現実的です。開業届はタックスアンサーNo.2090「新たに事業を始めたときの届出など」で「事業の開始等の事実があった日から1か月以内」と定められており、青色申告承認申請書の期限(開業から2か月以内)より短いので、開業届に合わせて両方一緒に出してしまうのが楽です。
ただし、開業届は青色申告承認申請書の必須前提条件ではありません。法律上は申請書だけ出しても受理されます。とはいえ事業所得として認められやすくするには、開業届で「事業を始めた」という形式を整えておく方が無難です。開業届にもメリット・デメリットがあるため、開業届を出さないと損?開業届の落とし穴5つも併せて確認してください。
65万円控除の追加要件:e-Tax または電子帳簿保存
ここが2026年現在もっとも見落とされやすいポイントです。青色申告承認申請書を出して複式簿記で記帳しただけでは、控除額は55万円止まりになります。2020年分から導入されたルールで、65万円控除を受けるには次のいずれかが追加で必要です。
| 控除額 | 必要な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 複式簿記での記帳 + e-Taxによる電子申告 または 優良な電子帳簿保存のいずれか |
| 55万円 | 複式簿記での記帳のみ(書面で確定申告書を提出) |
| 10万円 | 簡易簿記での記帳 |
実務的にハードルが低いのはe-Taxでの電子申告です。マイナンバーカードとスマホ(またはICカードリーダー)があれば自宅から申告でき、それだけで控除額が10万円上乗せされます。電子帳簿保存の方は事前承認や要件適合の手続きが煩雑なので、副業会社員にはe-Taxルートが現実解です。
申請書の「簿記方式」で複式簿記を選んでいることに加え、確定申告の段階でe-Taxを使う――この2つが揃って初めて65万円控除になります。
提出方法
申請書の提出方法は3パターンあります。
- 税務署窓口 ―― 控えを持参すれば受領印を押してもらえます。後から融資や賃貸契約で青色申告の証明を求められた際に役立ちます。
- 郵送 ―― 申請書原本+控え+返信用封筒(切手貼付)を所轄税務署に送付。返信されてきた控えに受領印があれば証拠になります。
- e-Tax ―― オンラインで送信。送信完了画面と受信通知(メッセージボックス)を必ずPDFで保存しておくと安心です。
いずれの方法でも、控えの保管が大事です。承認の可否について税務署から特段の通知は来ません(不承認の場合のみ通知あり)。つまり期限内に提出した記録が残っていれば、何もなければ自動的に承認されているとみなして大丈夫です。
会計ソフトを使えば申請書のPDF作成からe-Tax送信までワンストップで完結します。複式簿記での記帳負担も含めて、最初に仕組み化しておく方が長期的にラクです。
青色申告承認申請書の作成と複式簿記を自動化する会計ソフト
65万円控除の前提となる複式簿記の記帳は、会計ソフトの自動連携でほぼ手間ゼロになります。申請書の作成・e-Tax送信まで対応した2社は無料プランから試せます。
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まとめ
- 青色申告承認申請書は、事業所得として65万円控除を取るための必須書類。出していなければ自動的に白色申告になる。
- 提出期限は3パターン。既に白色申告中なら青色化したい年の3月15日まで、1月16日以降の新規開業なら開業日から2か月以内。1日でも遅れると適用は翌年から。
- 書き方の要は「所得の種類=事業所得」「簿記方式=複式簿記」「備付帳簿=総勘定元帳・仕訳帳」の3点。
- 開業届とセットで同時提出するのが実務の定番。ただし開業届は申請書の必須前提条件ではない。
- 65万円控除には**申請書+複式簿記+e-Tax(または電子帳簿保存)**の3点セットが必要。申請書だけでは55万円控除止まり。
- 提出後は控えを必ず保管。承認可否の通知は基本的に来ない(不承認時のみ通知)。
事業所得として通すための判定基準は事業所得と雑所得の判定基準を、雑所得側でも経費は引ける点は副業の雑所得、経費はどこまで認められる?を参照してください。開業届・青色申告の全体像は副業の開業届と青色申告ガイドにまとめています。
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