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開業届・青色申告

青色申告特別控除10万円・55万円・65万円の違い|2026年版・副業会社員が控除額を確定させる条件

副業会社員の青色申告で受けられる特別控除は10万円・55万円・65万円の3段階。それぞれの条件(簡易簿記/複式簿記・e-Tax/電子帳簿保存)と、自分が取れる控除額を確定させる実務手順を国税庁の一次情報で整理します。

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書類と万年筆が置かれた机

執筆: 副業タックス編集部

「青色申告にすれば65万円控除が取れる」――副業の節税情報でよく目にするフレーズですが、実は青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円の3段階に分かれており、自分がどの金額を取れるかは記帳方法と申告方法の組み合わせで決まります。複式簿記で帳簿をつけていても、紙で確定申告書を提出すれば控除は55万円止まり。逆に簡易簿記しかつけていなければ、どれだけ立派に申告しても10万円控除しか使えません。本記事では、副業を事業所得で申告する会社員向けに、3段階の違いと自分が取れる控除額を確定させる条件を、国税庁の一次情報に沿って整理します。

3段階の控除額:表で全体像

国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」によれば、控除額は次の3段階に分かれます。

控除額必要な記帳必要な申告方法
65万円複式簿記+貸借対照表・損益計算書e-Taxによる電子申告 または 優良な電子帳簿保存
55万円複式簿記+貸借対照表・損益計算書紙提出でOK
10万円簡易簿記(現金出納帳など)紙提出でOK

ポイントは、55万円と65万円の差は申告方法だけということです。帳簿の中身は同じで、e-Tax送信に切り替えるか、優良な電子帳簿の要件を満たすかで10万円上乗せされます。一方、10万円と55万円の差は記帳のハードルそのものです。簡易簿記か複式簿記か、貸借対照表を作るかどうかで線引きされます。

なお、いずれの控除も大前提として青色申告承認申請書の書き方と提出期限で解説した申請書を期限内に提出しておくことが必要です。

10万円控除:簡易簿記でOK、ハードル低い

10万円控除は、青色申告のなかでもっとも要件が緩い枠です。

  • 記帳は簡易簿記でよい(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など)
  • 提出書類は損益計算書のみで、貸借対照表は不要
  • 申告方法は紙提出でも電子申告でもOK
  • 不動産所得(事業的規模に満たないもの)や山林所得も対象になる

副業会社員でも、複式簿記までは負担が大きいと感じる場合や、不動産所得が事業的規模(いわゆる5棟10室基準)に満たない場合は、まず10万円控除からスタートする選択肢があります。タックスアンサーNo.2072でも、10万円控除は55万円・65万円の要件を満たさない青色申告者に適用される位置づけとして整理されています。

ただし副業の規模が伸びてきたら、複式簿記に切り替えて55万円・65万円を取りに行く方が節税効果は大きくなります。

55万円控除:複式簿記+貸借対照表

55万円控除は、青色申告本来の優遇とされる枠で、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 事業所得または事業的規模の不動産所得であること
  • 複式簿記による記帳
  • 貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付
  • 法定申告期限内(原則3月15日)に提出

不動産所得で55万円控除を取るには、独立家屋なら概ね5棟以上、アパート等なら10室以上という事業的規模の要件があります。事業所得側は基本的に規模要件はなく、事業所得と雑所得の判定基準を満たしていれば対象になります。

提出方法は紙でもe-Taxでも構いません。複式簿記で帳簿を整え、貸借対照表まで作って郵送・窓口提出した場合の控除額が55万円、というのが基本形です。会計ソフトを使えば複式簿記での記帳と貸借対照表の自動生成は標準機能なので、ここまでは仕組みでカバーできます。

なお、複式簿記のハードルが高いからといって雑所得で申告する場合、そもそも青色申告制度は使えません。副業の雑所得、経費はどこまで認められる?で整理しているとおり、雑所得は経費こそ引けるものの、特別控除はゼロです。

65万円控除:55万円の条件+αが必要

65万円控除は、55万円控除の全要件に加えて、次のいずれかを満たすことが条件です。

  • e-Taxによる電子申告(マイナンバーカード方式またはID・パスワード方式)
  • 優良な電子帳簿として帳簿を保存していること

①のe-Taxルートは、確定申告の段階でe-Taxを使って電子送信するだけで満たせます。マイナンバーカードとスマホ(またはICカードリーダー)が手元にあれば自宅から完結し、追加コストもほぼかかりません。副業会社員にとってはこちらが現実解です。

②の電子帳簿保存ルートは、国税庁が定める「優良な電子帳簿」の要件(訂正削除履歴の保存、相互関連性の確保、検索機能の確保など)を満たした会計ソフトで帳簿を作成・保存し、適用を受ける年の確定申告期限までに**「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る65万円の青色申告特別控除の適用を受ける旨の届出書」**を所轄税務署に提出しておく必要があります。要件適合の判定や届出の手間があるため、副業会社員でこちらを選ぶ実益は乏しく、①のe-Taxルートで65万円控除を取りに行くのが標準と考えてよいでしょう。

電子帳簿等保存制度の詳細は国税庁の特設サイトで案内されています(本記事末尾の参考リンク参照)。

自分はどの控除を取れるか:判断フロー

ここまでの内容を、副業会社員が自分の控除額を確定させる順番で並べ直すと次のようになります。

  • ステップ1:所得区分の確認 → 副業が事業所得(または事業的規模の不動産所得・山林所得)として申告できるかを確認。雑所得しか取れないなら青色申告自体が使えません。判定は事業所得と雑所得の判定基準を参照。
  • ステップ2:青色申告承認申請書の提出状況 → 期限内に提出していなければ、その年は白色申告で確定。来年分から青色化する準備をします。
  • ステップ3:簿記方式の選択 → 簡易簿記なら10万円控除で確定。複式簿記+貸借対照表まで作るならステップ4へ。
  • ステップ4:申告方法の選択 → 紙で提出するなら55万円控除で確定。e-Taxで送信するなら65万円控除になります。

つまり「自分がいくら控除を取れるか」は、(1)所得区分、(2)申請書の提出、(3)簿記方式、(4)申告方法の4点で機械的に決まります。逆に言えば、4点を整えれば誰でも65万円控除に到達できる設計です。

申請書を出していなければ白色申告止まり

ここまでの3段階の話は、すべて青色申告承認申請書を期限内に提出していることが前提です。申請書を出していなければ、どれだけ複式簿記で帳簿を整え、e-Taxで申告しても、控除額は10万円ですらゼロ――いわゆる白色申告として処理されます。

申請書の提出期限は「既に白色申告中の人が青色に切り替えるなら、青色化したい年の3月15日まで」「1月16日以降の新規開業なら開業日から2か月以内」と決まっており、1日でも過ぎれば適用は翌年に繰り延べになります。提出期限・書き方・開業届との関係は青色申告承認申請書の書き方と提出期限で詳しく解説しています。

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まとめ

  • 青色申告特別控除は10万円・55万円・65万円の3段階。記帳方法と申告方法の組み合わせで自動的に決まる。
  • 10万円控除は簡易簿記でOK、貸借対照表も不要。事業的規模に満たない不動産所得や山林所得にも適用される入り口の枠。
  • 55万円控除は複式簿記+貸借対照表・損益計算書が必要。紙提出でも適用される。
  • 65万円控除は55万円の全条件に加えて、e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存のいずれかが必要。副業会社員はe-Taxルートが現実解。
  • 自分の控除額は「所得区分→申請書の提出→簿記方式→申告方法」の4ステップで機械的に決まる。
  • 大前提として、青色申告承認申請書を期限内に提出していなければ白色申告止まり。控除額の議論以前に手続きを完了させておく必要がある。

申請書の書き方・提出期限の詳細は青色申告承認申請書の書き方と提出期限を、開業届・青色申告の全体像は副業の開業届と青色申告ガイドにまとめています。

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