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執筆: 副業タックス編集部
ホームセンターから帰ってきて、木材と一緒にビス、養生テープ、ついでに買った自宅補修用の蝶番が混ざった一枚のレシート。「これ、全部経費にしていいのだろうか?」と手が止まる――DIYを副業にしている会社員の確定申告で一番つまずきやすいのが、この個人利用と事業利用が混じる支出です。答えは「混ざってもいい、ただし按分のルールに沿って区分する」。本記事では、家具や小物の販売・受注制作・YouTube制作などをしている方向けに、按分の考え方と領収書メモのコツを整理します。
まず「家事関連費」の考え方を押さえる
所得税の世界では、生活費(家事費)と事業の経費がはっきり分かれていれば話は簡単です。問題は両方が混ざる支出――これを家事関連費といいます。
国税庁タックスアンサーNo.2210でも、家事関連費のうち必要経費に算入できるのは、
- 業務の遂行上直接必要であること
- その必要である部分を明らかに区分できること
の両方を満たす部分のみ、と整理されています。根拠条文は所得税法施行令第96条。「全部経費にしたい」気持ちはわかりますが、明らかに区分できないと税務署に説明できないので、割合の根拠を自分で持っておくのが鉄則です。
DIY副業に出てくる典型的な按分対象
家具販売やオーダー製作、DIYのYouTube運営でよく出てくる支出を、按分の考え方とセットで整理します。
| 支出例 | 事業使用率の目安 | 按分の根拠 |
|---|---|---|
| 木材・合板・塗料・ビスなど材料費 | 100%(販売品に使ったぶん) | 案件・在庫メモ |
| 電動ドリル・サンダーなど工具 | 50〜100%(使用頻度で判断) | 使用日記録 or 業務利用比 |
| 自宅作業スペース(ガレージ・一室) | 床面積比 | 全体の床面積に対する割合 |
| 電気代・水道代 | 床面積比 or 時間比 | 作業スペース割合 × 稼働時間 |
| ガソリン代・高速代 | 業務走行距離 ÷ 総走行距離 | 走行記録(仕入れ・納品分) |
| ホームセンター駐車場代・配送料 | 100%(仕入れ・納品分) | レシート保存 |
材料費は「販売品に使った分」と「自宅DIYに流用した分」を分けて記録すれば、業務に使った部分は基本100%経費。一方、工具や光熱費は割合で按分することになります。たとえばガレージの3分の1を作業場にしているなら、ガレージの電気代の3分の1が目安です。
レシートに書く「3つのメモ」
レシートは保存するだけでは半分しか役に立ちません。受け取ったその日に、裏や余白にこの3つを書いておくと、後で帳簿を付けるときも、税務調査が来たときも自分を助けてくれます。
- 何のため(用途)――例:「○○家チェア塗装用」「ガレージ照明の交換」
- どの案件・動画(紐付け先)――例:「メルカリ案件#42」「YouTube動画『棚DIY』撮影分」
- 按分するなら割合と根拠――例:「事業60%(週の作業時間比)」
特に同じレシートに事業用と私用が混ざっている場合は、買った商品ごとに丸を付けて「事業」「私用」と書き込むのが一番シンプル。会計ソフトに入力するときも迷いません。
工具は10万円・30万円のラインで処理が変わる
DIYのために少し本気の工具を買うとき、価格帯で税務上の扱いが変わります。
- 10万円未満:消耗品費・工具器具備品として、買った年に全額を経費にできる。
- 10万円以上30万円未満:青色申告者なら、少額減価償却資産の特例で年300万円まで一括経費化が可能(白色申告は対象外)。
- 30万円以上:原則として減価償却。電動工具は「工具」、テーブルソーやレーザー加工機などは「機械装置」など、耐用年数表に沿って数年に分けて経費化します(タックスアンサーNo.2100)。
「とりあえず買って全部経費」は10万円ラインを超えると通用しません。逆に言うと、青色申告に切り替えるだけで30万円未満の工具がその年に落とせるので、購入予定がある人は開業届と青色申告の準備を先にしておくと得です。
なお、事業使用率が100%でない工具を減価償却するときは、減価償却費 × 事業使用割合が必要経費になります。
領収書がないときの代替手段
ホームセンターのセルフレジで紙が出なかった、レシートを失くした、自販機で飲み物を買った――DIY副業ではこれもよくあります。領収書がなくても次の方法で経費にできます。
- 出金伝票:日付・支払先・金額・用途を自分で記録。100均の伝票でOK。
- クレジットカード明細・電子マネー履歴:日付と店名が出るので、用途メモを添えて保存。
- 銀行振込明細:オンライン仕入れや受講料の支払いに有効。
- メールの注文確認・PDF請求書:ネット仕入れはこれが領収書代わり。
ポイントは「他人から見て用途が説明できる」こと。出金伝票だけが大量にあると不自然なので、原則レシートをもらう・もらえなかった分だけ伝票で補う、の運用にしましょう。
DIYならではの仕入れ先や撮影機材の経費の考え方は、DIY副業の経費ガイドでも具体例を増やしています。
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まとめ
- 個人利用と事業利用が混じる支出は家事関連費。業務に必要で、明らかに区分できる部分のみ経費。
- 材料費は案件単位で記録、工具や光熱費は使用率・床面積比・時間比で按分。
- レシートには「何のため/どの案件/按分割合と根拠」をその日のうちにメモ。
- 工具は10万円未満は一括、10〜30万円は青色なら特例、30万円以上は減価償却。
- 領収書がなくても出金伝票・カード明細・振込明細で代替可能。
按分は「面倒だから100%にする」「全部諦めて0%にする」のどちらも損です。割合の根拠さえ自分で持っていれば、堂々と必要経費にできます。今日仕入れたレシートから、メモを始めてみてください。
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